私は現在、人気無地Tシャツを生産・販売してるのだが、将来は縫製工場を買いたいなと思っている。
それは継承者のいない工場があればだ。というのも最年少が60代なんて工場も珍しくないし、外国人技能実習生がいる工場もあるが5年周期で祖国に帰ってしまう。
実際にとある工場長もいう。もってあと10年じゃないかと。
賃金も最低賃金に近く、さらに今後は人手不足により工場の廃業が相次ぐと予測される。
そこでいつか工場を買い取りたい。そんな斜陽産業の工場をよく買うな…と疑問を持つ者もいるだろう。
しかし工場を買ったとしてもこれまでと同じように大量生産を前提とした生産ではやらない。それこそ東南アジア、アフリカ大陸との底辺への競争に勝てるわけがない。
先日、これから新たにお取引をする縫製工場へ打ち合わせにいった。
とても素敵な工場ですよ
これから受注生産型オーダーTシャツはこちらの工場と共同事業をする。
CAD・CAM、一枚レーザー裁断機など設備が整っているし、すでにセミオーダーを自社でおこなっているので私の事業にも共感してくれた。
(ちなみに今までの縫製工場とは、Tシャツ量産時とパーカーでお付き合いを続けていきたい)
今回の共同事業における売上の取り分はほぼ折半だ。
生地代はサイズ・型により変動するからそこは当社が受け持つ。工場には売上の40%を確約させる。工場の協力なくしては成り立たない事業だからだ。
しかしここで、工場生産でたった1枚ロットで1,620円なんてやってられない!という繊維業界人も多いだろう。またセミオーダーで3,990円なんて安いからもっと高価格化するべき!というアパレル諸君も多いだろう。
しかしこちらは中量生産が大前提であるからこれでいいのだ。将来、自分が工場を経営するならやり方を変えたい。
例えばTシャツ1枚あたりの国内縫製賃は500円前後が相場だ(ロットや時期にもよる)
1,000枚のTシャツを生産するとしたら工場の売上は50万円だ。
1,000枚 × 500円 = 売上500,000円
これを、
333枚 × 1,500円 = 売上500,000円
と中量生産を目指す。
どちらが理想か火を見るより明らかだろう。まだ安単価で消耗してるの?
そのためには売れるブランド、売れ続けるサービスが必要だからそれを創るために共同事業としてチャレンジする。
繊維アパレル産業は今後も不況が続く事、人手不足は解消されない事を考えると生産性向上が不可欠。
原点にもどると売上=客数×単価だから、客数は今後増えないので単価を上げることが生産性向上へと繋がる。
これまでは不況と人手不足の解決策として外国人技能実習生で賄ってきた背景があるが、これはある意味で生産性向上を阻害しており設備投資をしなくてもよかった。
これがうまく回っていけばマスカスタマイジェーション中量生産型モデルを確立し、いずれはオール自動化へと設備投資しさらなる生産性向上が臨めるかもしれない。
それをまずはTシャツというアイテムから実現させたい。だからナインオクロックは無地Tシャツブランドだったのだ。
最初ブランドを始める時、多くのアパレル野郎やファッショニスタどもに笑われた。
無地Tシャツだけ?うぷぷぷwといった具合だ。今に見てやがれ!
衣食住は無くならない。いくらファストファッションが主流になろうが、どんなにグローバル資本主義が加速しようが、国内製造業がまったくのゼロになることはないだろう。
淘汰は進むが、むしろ生き残れば競合も少なくチャンスと捉える。これまでと生産・消費・分配の仕組みが変わるだけなのだ。
すべては売れればの話だがw
セミオーダーにニーズはあるのか?
新サービスの前線では顧客に意識変化を求めるというハードルもあるが、そのあたりはブランドZOZOにお任せするとして、私はそれに乗るしかないのである。
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