現代では、社会がすでに成熟しきっているという意見がある。
良いモノが大量に溢れており人々はモノが欲しくない
成熟社会では消費者はお金を使わなくなっている
ということをたまに聞くことがある。
これは確かに一理あるが、しかし成熟社会だから仕方が無いんだよ、と思考停止に陥っているともいえないだろうか。
消費者が「お金を使わなくなっている」のは紛れもない事実であるが、これは社会が成熟したとか、モノが溢れかえってるからとかではなく、消費者は「お金を使えなくなっている」ということが正しいのではないかと考える。
先日発表された昨年12月の家計消費支出は、前年比マイナス4.4%であった。一般的に繁忙期といわれている12月の消費がマイナスと落ち込んでいる。
これを踏まえた上で、モノが溢れてるからとか、暖冬だったからとか、成熟しちゃったからという理由で「消費者はお金を使わなくなってる」というのならば、今後はもうマイナスし続けるいっぽうになってしまうではないか。
だから諦めて思考停止に陥ってるのか?
ただそうなれば売上は下がり続けるのは必然になり、そうなれば所得も下がることになり、売れなければ値下げし始め、価格競争へと向かうデフレスパイラルに陥ると容易に考えられないだろうか。
国民平均年収は1997年をピークに減少し続けている
年収プラス60万円の生活ができればどれほどのモノを買いたいことか、
そして労働人口における年収300万円以下は約41%にも増え続けている
さらに年収500万円以下でいえば約70%にものぼる。あなたの年収は500万円以上だろうか?
モノが大量に溢れかえっているからモノが欲しくない!のではなく、所得が下がり続け「お金を使えなくなってしまった」人が増えた!ということがいえないだろうか、だからモノが売れ残るのである。そしてこれはデフレが根本的な問題であるといえるだろう。
と考えれば冒頭に述べた、
良いモノが大量に溢れており人々はモノが欲しくない
成熟社会では消費者はお金を使わなくなっている
ということは詭弁ともいえるわけである。
この詭弁ともとれることを言う人の多くは、恐らく年収が500万円以上ある大人達だろう。
年収500万円以上は労働人口の中では約30%ほど いるが、その中での世界であれば確かに良いモノがあり過ぎてもう散々と消費してきてお腹いっぱいであろう。
しかし多数派は年収300万円以下である。
所得が増えない、または下がり続けると人間はモノを買うのを我慢する傾向がある。我慢に慣れてくると確かに「お金を使わなくなる」が、「お金を使えなくなる」からお金を使わないだけなのである。
大人たちはズルい。
ラジオからスマホのような技術革新を体感してきて、もう人生の折り返し地点をとっくに過ぎ去り、戦後の日本から良くここまで高度経済成長を果たした!もう社会は成熟しきってしまった!というように考えているわけである。
確かにあなた達の若かりし時代からしたら物凄い便利になった世の中なのだろうが、我々若年層からしたら、これらは普通であり、それでもまだまだこれからなのである。
たしかに先人たちの恩恵を受けて生きているわけだが、それはあなた達大人もそうであっただろう。
デフレと所得ベースでの現実的なことを書いたが、一番言いたいことは、成熟しきったのは社会ではなく、あんたの脳ミソだけだよ!と言いたいのであったw