こんばんわ香取です。
今年になり事業譲渡の件など含め、20名ほどのサロンオーナー様と話す機会があったのですが、皆様やはり人手不足だという。
健全な人手不足は本来、良いことなのです。
どういうことかというと、
サロンにくるお客様という需要に対し、従業員という供給が足りない。
つまりこのサロンは需要>供給のインフレギャップであり、
労働生産性を高めつつ、これがこのまま一定期間続くとなると、
価格を上げることができる。
さらに、従業員の給料を上げることができるのです。
それでもさらに求人がこないとなると、求人への給料も上げざるを得ないのです。
これは国民の名目賃金もこのようなプロセスで所得が上昇するはずなのです。
ただ現在は円安や消費増税による物価上昇に名目賃金上昇が追いつかず、
実質賃金が低下しています。
これが需要牽引型の経済成長なのですが、
現在の美容師人手不足問題は、
美容師の全体の人数に対しサロンの数がありすぎる事により美容師が足りていないということです。
(ここでいう美容師は美容師として働く意志のある美容師です他業種に転職や引退した美容師は含みません)
ここでどのようにして人材を雇い入れるか、これは多くの経営者様のお悩みだと思います。
やはり低価格サロンに多くの美容師が働いています。
ざっと東京都内のホットペッパービューティーを拝見すると、
低価格サロンのシェアは実に5割にものぼります。
(私の低価格サロンの定義はカット+カラーが5000円以下の設定)
業務委託完全歩合50%バックで給料が30万以上可能。
自由出勤。フリー客多数入客OK。
他のサロンがこの求人に対抗するには、ブランド力や、給料はもちろん、
やはり週休2日制、有給、社保完備などの福利厚生をきちんと整えることではないでしょうか。
さらに美容師の労働市場が人手不足になると、労働者有利になってくるため、
より魅力的な雇用環境を用意しなければなりません。
私のサロンは恥ずかしながら、
・月6日休 ・夏季3日休 ・年末年始4日休
・有給年5日 ・労働保険 ・美容国保
これが限界でございました。
なにが正社員だ!バイトと変わらないではないか!
経営者失格です。猛省しております。
これなら低価格サロンの業務委託で非正規雇用でも給料が良いほうがよっぽどいいではないかと思われても仕方がないのかもしれない。
少なくとも低価格サロンオーナーは自社の美容師の所得は増やして上げている。
まさに、これまでの美容師による労働環境・雇用環境の悪さが、
低価格サロンを生んだといってよいでしょう。
冒頭に述べた多くのサロンオーナー様達は本当に美容を好きな方が多かった。
私のようにならずこれから美容業界を牽引していただくよう切にお願い申し上げます。
とくに新卒のこれから美容師を目指す若い世代のためでもあります。
我々先輩美容師の不甲斐なさにより市場規模低迷の中、安定もなければ給料も安い、魅力的な仕事として思われなくなってきたのでしょうか、美容師新規免許登録者が減っています。
平成20年に激減していますが2008年のリーマンショックの影響なのでしょうか、
因果関係はわかりませんw
が、それ以降美容の市場規模と同じように減少しています。
少子化の影響もあるでしょう。
新規免許登録者は減っているが、従業美容師数は先日のエントリーのとおり逆に増えています。
低価格サロンの業務委託として復帰している美容師が多いのかもしれません。
低価格サロンでは新卒やアシスタントは育ちません。
自由出勤の経験豊富なスタイリストがいたとしてもボランティアで練習をみてあげるでしょうか。
美容師は技術職です。
技術の進化、発展させながら次世代に継承を伝えなかったらそれこそ本当に衰退する一方です。
有能なスタッフを集めるためにも、
優秀なスタッフを辞めさせないためにも、
しっかりとした雇用環境を整えなければ我々経営者はいけないのです。
そうしなければただでさえ減少している新卒も入らないでしょう。
私はアシスタント時代、
仕事以上の用事はない。 休日も練習にこい。
と「先生」に指導されていました。
しかしもうあの頃の根性論ではヒトは育たない。
時代は変わりましたねw
明日に続きます。