私は約2年前、東西線の満員電車に揺られ、ipadで株価をチェックしながら、細身のスーツにピカピカのモンクストラップを履き、東京は大手町へと通勤するビジネスパーソンであった。
そんなモグリの短いサラリーマン生活は悪くなかった。
年収500万円は約束され(高くはない)このままスレンダーの嫁をもらい、さいたま新都心にマンションを購入し、TOYOTAのアクアを所有できればそれでいい。そんなことさえ思ってしまったこともあった。
当時は17時過ぎには終業し、何度か近くの丸ビルで、丸の内OLと飲み会もしたことがあった。
私は会社の名刺を渡すと、瞬時に企業名から判断し、年齢キャリアからおおよその年収をソロバンしていたのが印象的であった。
丸の内OLが言う。丸ビルから窓の下を覗き、目の前の皇居をジョギングしている人達をみながら彼らの半数以上の年収は約700万円なんだよと。
まじか。わての年収は500万や。500万長者や。
丸の内OLを口説き落とすことは難儀なものだと当時は痛感したよ、年下とはいえ彼女らはまだまだ上を見ている。
しかしながら私もまだまだ上を見ていた。少なくとも前々職ではそれを越えていたこともありとくに物怖じしない。ただ彼女らはさらにそこに安定さを求めている何という合理的な女たちよ、
そんな丸の内OLとは今でも連絡をとることがある。
※去年の写真ね
私は開口一番、おい結婚できたのか?と聞く。
先日、東京出張の際に久しぶりに会ってランチにいってきた。どうやらまだ結婚はしていないようだが経営コンサルタントと同棲間近という。
しかしそんなことはもはやどうでもいいのだが、今は丸の内OLから虎ノ門OLへと転身し、彼女自身、確実にキャリアアップをはかり現在の年収は750万円を約束されたようである。
丸の内OL時代は400万円ほどであっただろうか。2年で約2倍の年収アップ、これでキミも皇居をジョギングできるではないかと余裕をかましていたが、実のところ私は少し焦りを感じていた。
前々職から大きく収入が減少し、貯蓄も目減りするいっぽう。なにも地方移住したのは精神的豊かさを求めにきたわけではない。2年間はじっくりとと考えていたが一刻も早く成果を出さなければいけない。
久しぶりに東京へ行くとスピード感がまるで違う。
置いて行かれるのではとさえ思ってしまう。
しかし悲観的になるどころかむしろ自身の向上心を再確認できてよかった。
そして現時点では私以上の年収を獲得している彼女が御手洗いに行ってる隙に、ランチ代7,000円を済ませるスマートな自分が大好きだ。
現時点での年収が低いのは想定の範囲内。私はまだまだ健在でありこれからである。
今日のランチは牛丼である。