私がこれから国産衣料品の販売をする上で、繊維アパレル業界はレッドオーシャンだからとくに価格設定に悩んでいた、と以前ブログに書いた。
そこで安売り店の最大の弱点が2つあるという仮説を立て、この仮説に基づき価格戦略と商品戦略を練っていた。
その前に、安売り店というのは、安くて良いものを提供してくれる提供価値は素晴らしい。消費者として素直にそう思うが、今回の話は私が生産者としての立場での話である。
また「服」というのは定義が曖昧である。アパレル関係に属する会社なりブランドは提供価値がそれぞれ違うものであるから、あくまで私の事業を軸に考えていることである。
セレクトショップやハイセンスブランドには当てはまらない仮説でもあるが、それらの定義が曖昧だと読み手との乖離が生じやすい、言葉とは難しいものよw
では、その価格戦略における低価格衣料品の最大の弱点とは!?
値上げができない
私が言うまでもないがまさにこれに尽きる。
これまで低価格衣料品を主に成長してきた会社は今後失速するのではないかと予測している。かといって例えばユニクロが倒産なんてことはあり得ないが、低価格衣料品というビジネスモデルそのものが停滞してくるのではないかと中長期的に考えている。
そもそもなぜ低価格衣料品が主流になったのかと考えると、超根本的な理由は日本経済がデフレだからである。
低価格衣料品は高品質:低価格を売りに、デフレ経済に非常にマッチしたデフレの勝ち組である。今後日本経済がデフレから脱却したら間違いなく失速するだろう。
そもそもデフレ脱却できるの?という話は長くなるので置いておくが、「安さ」という最大の提供価値が崩れたらもはや顧客離れは必然とならないだろうか。
デザイン・品質などの付加価値を変えずして値上げをすれば、値上がった分、他のミドルブランドを買いたい、そう思う人も多いのではないか、低価格衣料品の役割は代替品であり消耗品であることに変わりはないのではないか、
昨今の為替や原材料・人件費高騰など経済的側面から値上げをした低価格ブランドがあったが、客数・利益減少によりすぐに価格を元に戻した経緯もあった、これらも容易に想像ができたことだった。
以前もいったとおり、これだけベーシック衣料品において寡占化が進むと、顧客の満足度が落ち着き、顧客との関係がマンネリ化している、顧客が不満を持っている場合が多い。
これが低価格という提供価値が無くなれば顧客の満足度は低くならざるを得ないのではないだろうか。
もしも相対的な物価水準が下落し、低価格衣料品が中価格帯へシフトチェンジに成功することができたとしたら、均質化・同質化による全てがフラット化したつまらない世界となるだろう。
さらにユニクロの柳井氏が提唱するような、世界同一賃金が達成される可能性が高まる。おそらく柳井氏はそのあたりを見据えているのかもしれない。
少し話が逸れたが、低価格帯が主流なのは長引くデフレ不況だからである。そもそも基本的には物価は中長期的には上昇していくものであり、ここ15年以上のデフレ経済が歴史的におかしな状況なのである。
とくに我々50歳以下は物価が安定的に上がりそれ以上のペースで所得が上がっていくマイルドなインフレ経済を体験したことがないから、いまいちピンとこない。
必ずしも物価が今のままではないと予測すれば、9o'clockは今から中価格帯で仕掛けておきたいということである。
まぁ相当な持久戦になることは必須でその前に簡単に淘汰される可能性も大だが、ちょいと試してみたいんだよw
成功している低価格ブランドは、かつてグローバリゼーションとデフレ突入を見据え経営戦略をとっていたのかもしれない、もうすぐ時代の転換期だよ( ☞´◉‿ゝ◉`)☞
規模の大小関係なく経営者にとって短期的な視点も大事であるが、中長期的な視点も必要である。
ただTシャツを売りたいわけではない。9オクロックハンド作戦はどこまで攻め込めるのか!?アパレルビジネスはとても愉しそうだw
そして商品戦略におけるもうひとつの最大の弱点とは!?
また今度に続きますw