香取です。
本日は皆様に事実と現実を知ってもらいたいと思い、
ブログを始めたキッカケでもある内容のエントリーです。
今年に入り多くのサロンオーナーとお会いしたが、様々な方がおられました。
皆さんやはり私以上に美容を愛しているようでした。
しかし疑問に思う。
なぜ美容が好きなのに低価格にしているのかと。
貴殿の愛する美容の価値はそんな低価格なのかと。
ある方は譲渡するにあたり、残るスタッフがどのくらい美容に情熱を持っているか、
譲渡金額を提示する前にスタッフと話したいという。
その情熱を感じられないスタッフであれば、残らなくていいとおっしゃる。
しかしそのオーナーのサロンのカットカラーは3900円だ。
当サロンのカットカラーは8500円だ。
モノやサービスの価値とはなんなのであろうか。
愛や情熱などの価値はお金ではない。
しかしお客様にご提供するサービスの対価としていただく価値は、お金である。
お金はあまりいただかなくても最高の技術・サービスを提供するとなると、
最終的にはどこへ向かうのだ?
市場の原理により価格が決まるのは必然である。
しかしやはり健全な競争を阻害するほど不当に安い価格で技術・サービスを販売しておいて、
愛する美容の価値を下げている美容師がいることは残念である。
おかげで美容業界は低迷の一途である。
しかし低価格サロンオーナーの数名は、すでに美容師ではなかった。
短期的な利益追求をする経営者であった。
経営者としては素晴らしいのだろうが、現に市場規模低迷をさせておいて自社の利益だけを追い求めるこの資本主義の在り方に違和感がある。
最近驚いた話、
とある投資家の間で、利回りの良い低価格サロンへの投資情報が流れていたという。
出資額2000万円以下でサロンを出店し、1年未満で回収できるという投資情報。
これは投資家にとっては利回りの良すぎる、おいしい話である。
実際、当サロンに内見にきた30歳前後の二人組は低価格サロン経営者ではあったが、
つっこんで聞いてみたらやはり出資者がいた。
さらに驚きなのは、その二人組は誰もが知っている超有名カリスマサロン出身であった。
私は今後の美容業界を大変危惧している。
その本質を知らずして一時の所得を得たいだけのために低価格サロンで働く美容師達。
皆さんがお客様を捌けば捌くほど、低価格サロンの経営者や投資家には、
チャリンチャリーンと勝手に懐にお金が入ってくるのだ。
「中価格サロンより稼げているからいいのだ!」と思うなかれ。
以前も申し上げたが、今後さらなる低価格サロンの台頭により中価格サロンとの価格がフラット化し、
超供給過剰により現在ほどフリー客数が見込めず、完全歩合制の美容師たちの所得が確実に下がる。
実際に市場規模低迷を受け、GDP三面等価の原則により、美容師の全体の総所得が下がっている。
さらに追い討ちは、超オーバーストア状態により大手クーポンサイト掲載料金が値上がるだろう。
そして非正規雇用である美容師は、結局は自己責任となる。
利益至上主義者と投資家にとって労働者の所得は、
ただの 「コスト」 なのである。
労働者の 「所得」=「コスト」 を下げることにより、
資本利益率が上がり、配当金を得られる。
そして海外進出を視野に入れているサロンは、
国際競争力が増し、いずれグローバルに展開する。
国際競争力とは、コスト削減による価格競争であり、
そのわかりやすい例が、ファストファッションである。
「安い」には必ず理由がある。
この情勢は現在の世界の主流である株主資本による、欧米型資本主義そのものであります。
まさか我らが美容業界にも波及してくるとは思いませんでした。
さらに今後もこの流れは加速するでしょう。
まさにこれが、いわゆる 1%対99% である。
投資家にとってデフレ経済は好都合なのである。
理美容サロンのファスト化がすでに始まっている。
私は数年以内必ず淘汰されると経営者の端くれながら悟りました。
しっかりブランディングして付加価値サロンをつくるのか、
または技術・サービスを維持し低価格サロンをするのか、
どちらも私にはもう気力がなく撤退を決心してしまいました。
心から美容を愛する本物の美容師こそが今後の美容業界を建て直せるであろうと確信しております。
美容業界の発展を心から祈念申し上げます!