香取正博のブログ

東京から岩手に移住して起業した香取正博のブログです

香取 正博のブログ

デフレの恐ろしさ

いつもありがとうございます!香取です。

私は中学生の頃初めて美容院にいった。

 


地元ではおしゃれな人気の美容院で、カット・シャンプー・スタイリング込で学割で3800円(税抜)ほどであった。

通常カット料金は4200円(税抜)
トップスタイリストでも4700円(税抜)

中学生ながら特に高いとは感じなかった。

いつからだろうか。お客様から、カットってシャンプーついてますか?と問い合わせがくるようになったのは。

クーポン誌とやらが出始めてカット1900円のサロンが出てきた。

実際に行ってみると、
シャンプーは別なんですよー
シャンプーはプラス500円ですー
ブローは別でドライのみなんですよー

私はアシスタントながらそのサロンの経営者、美容師の良心を疑った。

せこすぎるだろうw

2001年3月、日本政府がデフレ宣言をした。

 

偶然にも、ホットペッパーの渋谷版新宿版の創刊も2001年3月だ。


ここから日本のデフレと美容業界の供給過剰が比例するように価格破壊が起こり始めた。


例えば縮毛矯正を当時では超破格で打ち出したストレートアルチザン。

 

すでに閉店しているから申し上げるが、ものすごい集客力だったようだ。

 

しかし安いには必ず理由ある。

 

薄利多売で回転率を高めなければならない。

 

そうなると必ずクオリティを代償にしなければならず、かなりのクレームがあったようでホットペッパーを一時掲載禁止になった経緯がある。

しかし昨今では、低価格サロンがさらに増え、市場の原理により低価格サロン同士の競争が起こり、低価格ながら技術・サービスのクオリティがたしかに向上してきてしまった。

しかしそれでもまだ低付加価値であるはずの技術・サービスが、それなりに満足してしまうようになり、

さらにカット+カラー3500円という低価格が、普通の相場価格として感じてしまうようなことが起こっている。

 

生産者側(美容師)も消費者側(お客様)も自然に低付加価値がノーマルの水準になり、知らず知らずのうちに少しずつ、本当に少しずーつ、クオリティが下がっていることに気がついていない。

これがデフレの恐ろしさである。

 

デフレマインドは、モノ < カネ である。


本来であればもっと良いものを求めたいという欲求にかられ高付加価値への投資や消費をするものだが、デフレマインドに犯されるとまずは安いが大前提。

 

安くて良いものにしか消費せず、安いものを追求すればするほど低付加価値になってしまう。


この付加価値の合計が「GDP」である。

これでは経済は成長しない。


さらにじわじわとデフレが深刻化する。


デフレは物価が下がることだが、恐ろしいことに物価の下落以上に、国民の所得が下落してしまうのです。
 

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コアコアCPIとは、消費者物価指数のうち、生鮮品等の食料(酒類を除く)及び電気代やガソリン代などのエネルギーを除いた指数のこと。

 

純粋なモノやサービスの物価の変動がわかる指数である。


表を見ると、2001年からコアコアCPIが年率1%を下回りはじめ、デフレが始まっています。

 

そしてそれ以上のペースで国民の平均給与が物価の下落以上に下回ってしまうのが確認できると思います。


過去のエントリーで取り上げた、

美容業界の市場規模が縮小している。
美容院の価格が下がっている。
美容師全体の所得が減っている。


日本経済そのもののデフレという問題もそうですが、

美容師として技術者として安売りすればするほど全体の美容師の所得が減り市場規模が縮小し、雇われでは稼げないと独立し、供給過剰によりさらなる価格競争により低価格化しそして市場規模が縮小する。


美容のデフレスパイラルだ。


ついでに申し上げておくが、管理美容師免許をなくそうという議論もある。

 

これこそがいわゆる規制緩和だが、管理美容という規制をなくしてしまったらそれこそ美容師が独立しやすくなり、美容師以外も新規参入がしやすくなり、より供給過剰になってしまう。


この悪循環を断つには、日本経済のデフレ脱却もそうですが、私たち美容師の意識を変えていかなければならないと思います。


そして以前も申し上げたが美容師だけのせいではない。

 

低価格サロンが健全な運営ができるのも例えば美容ディーラーが安く材料を卸し経費削減にご協力している側面もある。

現在のデフレの勝ち組は間違いなく、格安中古美容器具販売業者、格安美容ディーラー・メーカー、大手クーポンサイト、そして低価格サロンの経営幹部でしょう。

 

「需要」よりも「供給」が拡大したほうが儲かる会社である。



これから美容師が業界を衰退させる低価格サロンへと目指してしまわないように、

私は本ブログを書きはじめたのです。