あれは中学生の時だったが、自営業をやっていた父はテレビを観て横になりながら 「景気が悪いのぅ」と呟いていたのを何度か聞いたことがあった。
今思えば自営業、経営者の大変さはわかる。もしも私が今、家を買い妻子を養うとなればとてもじゃないが無理である。そういう意味では妻子持ちの夫である貴殿らは尊敬に値する。
そこは男としてワンステージ上にいるとさえ思ってしまう。おいらはまだそこへはいけないよ(>_<)
そんな中でも景気はミクロ的にもマクロ的にも動向は常に注視してなければならないから経営者は大変である。私のリスクは自分だけなのでフンドシを締めて果敢に攻められるが貴殿らは中々そうもいかない、慎重にならざるを得ないだろう。
景気が悪いのぅと何度も呟やく親父を傍目に、当時中学生の私でも日本経済が停滞しているのを何となく感じていた。
中学生の頃だから1997年前後でバブル崩壊後、橋本龍太郎政権の緊縮財政が始まり、消費税5%増税、それからアジア通貨危機の時代である。
当時はそんなことは全くわからず、私は日本経済よりも今夜のギルガメッシュナイトの番組内容で頭がいっぱいであった。録画予約するのにもVHSビデオデッキがきちんと発動するか入念にシミュレーションをしていた時代である。
夜な夜なビデオデッキのカタカタ音が微かに聞こえる真夜中のライドオンタイム。昭和59年生まれの私はギリそんな世代である。
それでも中学生ながら不景気ムードを感じていたから、親父よ、景気が悪いなら政府が一万円札をたくさん刷ればいいじゃないか!と何気なく言ったのを覚えている。
そうしたら親父のやつ何ていったと思う?
そんなことしたらハイパーインフレーションになるじゃないか!って言ったんだ。
いやいやいやデフレ不況に参ってるんでしょう?インフレになったほうがいいじゃないかと今では思うが、当時はハイパーインフレーションになっちゃうんだと私は思ってしまった。
ところがあれから20年が経ちアベノミクス以降、異次元緩和により約250兆円も日本円を発行してるけど全然インフレになっとらんやん!
最新の消費者物価指数(コアCPI)のインフレ率は▲0.4%!
全くインフレにもならずむしろより再デフレ化しとるやんけ!
親父は全くの無知であったと言わざるを得ない。日本円を刷りまくったってインフレにもなりやしない。そしていわゆるリフレ派の理論は崩れたといえるが、リフレ派は息してる?
金をたくさん刷っても結局誰かがその金を借り入れして、消費や投資をしてモノやサービスの購入がなされなければインフレにはならないんだ。
今は銀行はお金を貸したがってるとはいうけど、それでも借り入れしてまで投資してもデフレで需要不足だから儲からないから借り手も少ないのだろう。
だったら誰かが借り入れして消費・投資をして需要を作り出さなければインフレ率も上がらず景気は好転しないのではないか。家計は消費しないし消費できなくなってきた。民間企業も投資もしないで内部留保ばかりで信用創造も起きずらい。
じゃ一体誰が果敢にフンドシを締めて消費・投資をすればいいかと考えた時、やはり政府しかいないと思うのだがいかがだろうか。
親父とそんな話をしたのはもう20年も前だ。VHSビデオデッキも淘汰されデジタルに進化してるのに、未だに我が国だけろくに成長せずデフレで不景気なのはおかしいだろ。
VHSビデオデッキがデジタルに進化したのも投資のおかげ。
だから私は政府こそ積極財政をするべきと思う。
追記:
ちなみに、公共投資はムダ!といってきたおかげでバブル期の半分まで削減されてます。
公共投資はやりすぎでもバラマキでも何でもない。地震災害対策、インフラ老朽化問題と需要はたくさんあるから削減してる場合ではない事実。土建屋悪玉論は馬鹿げてる
各国との比較、日本だけです削減し続けてるのはw