こんにちわ香取です。
昨日のブログの余談であった理美容業界の規制緩和についてあれこれ考えてみます。
美容業と理容業を統合しようとする動きがあるようです。
美容師と理容師はそれぞれ国家資格が別物となっておりますが、簡単に言えば違いは女性のパーマができるか顔剃りができるかということでしょう。
ユニセックスサロンもあるが、それぞれ区分けした施設を設けなければならないようです。
1000円カットのQBハウスを運営する業界トップ5内に君臨するキュービーネット(株)が政府の規制改革会議に「理美容業界の規制緩和要望書」を提出していました。
■要望内容
理美容業に係る規制について、下記の規制緩和を提言いたします。
(短期的には)同一店舗における理容所・美容所の重複開設届を認め、理容師・美容師の混在勤務を認めるべき
(長期的には)理容師及び美容師の資格制度を統一すべき
理美容業に係る規制について、下記の規制緩和を提言いたします。
(短期的には)同一店舗における理容所・美容所の重複開設届を認め、理容師・美容師の混在勤務を認めるべき
(長期的には)理容師及び美容師の資格制度を統一すべき
消費者にとっては統合してくれたらサービス向上として良いとも思うかもしれませんが、ここではマクロ的な視点で考えてみます。
美容業界の市場規模は1兆5285億円
理容業界の市場規模は6473億円
どちらの市場規模も毎年連続で減少しており理容業のほうがより顕著である。
さらに理容業界は、美容業界と反対に店舗数+従業員数が減少を続けているのです。
美容業界以上の衰退産業といえてしまいます。
昨日ブログの表
理容業界の市場規模が縮小し続ける中、キュービーネットは高成長です。
理容業界が今後成長する市場ではないと誰もが判断できると思いますが、新たな市場を開拓したいと経営者であれば誰でも考えます。
そこで美容業と理容業の統合をする。
そうなれば合わせると理美容業界の市場規模は、約2兆1758億円という大きな市場となり、理容業界で快進撃を続けるキュービーネットにとっては、市場が約3倍以上ともなる開拓余地が広がります。
反対に美容業界にとっては、新たな競争相手が増えてしまうこととなり、さらなる過当競争へと突き進むことが予想されます。
ただ理容師にとっては、市場が広がるから良いとも思えるかもしれないが、理美容業界での小規模零細事業者の割合は約95%である。
そして理美容業界が全体で前年比5%弱も連続でマイナス成長をしている中、理美容業界のトップ10企業は前年比6%以上も連続でプラス成長している。
理美容業界の95%以上が小規模零細サロンである中、理容+美容の統合に恩恵をもたらすのは資本力のある企業に限られてしまう。
断っておくが、私は将来的には統合は賛成である。
しかし現在の経済環境を鑑みれば、統合して過当競争が予測できてしまうので、まずはそれぞれの市場でのプラス成長を達成し、多くの事業者が切磋琢磨し取り組める環境にしてから統合するべきで、タイミングとして今やるべきではないと考えます。
過当競争は、価格競争であります。
長年のデフレ不況の中でこれだけ資本力や組織力に圧倒的な差が出始めている現在での理美容業界の統合は、結果として勝ち組と負け組に二極化することが容易に予想できます。
しかしこれらの構図は、新自由主義によれば健全なる資本主義ともいえてしまいます。
ただ今回の規制緩和の要望書は、自社の利益追求だけを行おうとするレントシーキングとも思えてしまいます。
さらに過去のエントリー「理美容界のレントシーカー」でも紹介しましたが規制緩和を進めようとする流れがあります。
規制緩和や構造改革がすべて「悪」である!といっているわけではなく、
これらは様々な環境を踏まえつつ「バランス」と「タイミング」が大事であるのではないかと考えています。
経済的合理性のみ追求することが必ずしも正しいとは思えないのである。
そして経済的合理性を追求するには、
「デフレ経済」が好都合とも言えるのである。
低価格サロンの快進撃はまだ止まらない。
なので早くデフレ脱却をしたいのである(笑)