香取正博のブログ

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デフレ経済の経営的トリレンマ

ブログご訪問ありがとうございます。香取です。

タイトルの、デフレ経済の経営的トリレンマとは何かと言うと、

デフレ経済において、以下の3つを同時に達成することは不可能であるという仮説をたてました。

 


①高付加価値(技術・モノ・サービス)

 

②所得

 

③低価格

 


この3つのうち、同時に2つしか達成ができないのです。

現在の「美容業界」のデフレによる経営的問題を表しています。

 


①高付加価値を提供し、②所得を増やす。

この2つを維持するには、③低価格を提供できません。

いわゆるカリスマ美容師や付加価値サロンです。

 


②所得を増やしながら、③低価格で提供する。

カリスマ美容師や付加価値サロンと同等の①のレベルは提供できません。

これは低価格サロンです。



①高付加価値で提供し、③低価格で提供する。

この2つを同時に維持した場合、労働生産性と回転率が下がり②所得が増えません。

しかし①と③のバランスが重要でありそれにより②が変動する中価格サロン。

一般的なサロンや一人オーナーサロン、少人数サロンなどに多いです。

 


しかしながら低価格サロンがさらに台頭し、市場規模の縮小が止まらず、

サロンの価格と美容師の総所得が下がり続けると、

恐ろしいことに上記のトリレンマは3つ同時に達成してしまう可能性があります。

もしも高付加価値サロンと低価格サロンの①がほぼ同じクオリティになってしまうのを想像してみてください。これはこれは美容業界の終わりの始まりです。

 

つまり、どこのサロンに行っても、同じレベルの同じサービスしか得られない、

全てが低い水準にフラット化したつまらない世界になってしまうのです。

 

せいぜい超高価格サロンだけ生き残り、富裕層だけが楽しめる世界になるでしょう。


低価格サロン同士の競争により、①はたしかに高まってきています。

このトリレンマを冷静にみてみると、できれば③はしなくて済むならしないほうがいいと誰もが思うはずであります。


ではなぜ③のサロンが増えてきたかといえば、毎度申し上げているとおりデフレだからです。

 

そしてデフレの恐ろしさのほかにさらに重大な問題がでてくるのです。

 

それは将来に向けての、技術・化学・商品などへの開発や人材育成などへの「投資」が減ります。

 

中間層以下の所得水準もフラット化傾向にあり、デフレマインドにより安さが大前提であり、

安くていいモノしか求めなくなる。

 

そうなるとサロンや美容メーカーは、高付加価値の技術・モノ・サービスを提供しようにも、

「低価格」には勝てず、結局はコスト削減による「低価格」ばかりを追求するようになってしまいます。

 

過去の事例をみても、良い技術・モノ・サービスというのは比較的、高付加価値のカリスマサロンから出てきている。だからカリスマサロンは最先端だといわれる傾向にある。

 

かつてはストレートパーマ、コールドパーマ、ソバージュ、縮毛矯正、エクステンション、

デジタルパーマ、M3D等、革新的な技術・モノ・サービスが世に出てきていた。


ここ近年他になにかでてきたかは私は知らない。お客様はもっと知らないはずである。

 

良いモノ、良いサービス、高い付加価値というのは、

消費者が、ちょっと高いけど良さそうだな!試してみようかな!と思わせることにより、

 

実際に購入してみて、消費者にさらなる欲求と、満足をさせるために、

生産者はより高い付加価値を追及するために投資をする。

 

このプロセスが技術やモノ・サービス、さらには文化の発展だったのだと考えます。

 

初期投資は短期的な利益は生まれませんが、


将来への投資をすることにより、革新的なものが生まれやすいのであろうと考えます。

 

デフレは、低価格の効率性と生産性のみを追い求める、

 

底辺へ突き進む競争に陥り、究極的には人類は発展しないであろうと考えます。



『デフレ経済の経営的トリレンマ』



デフレで苦しむ全ての産業に当てはまるのでは?

 

この3つを同時達成しないことを祈るばかりであるが、

結局はデフレが深刻化すると多数の国民の総所得は減るのである。